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コールセンターのヒューマンエラー対策/3つの原因と効果的な9つの方法を詳しく解説(2025年改訂版)

ヒューマンエラーの多発に悩む職場は少なくありません。再発防止に努めているのに、なぜか同じようなミスが起きてしまうこともあるでしょう。ヒューマンエラーは完全に防ぐことは難しく、だからこそ効果的な対策が必要です。

この記事では、コールセンターにおいてヒューマンエラーが起きる3つの原因と効果的な9つの対策について、詳しく解説いたします。ぜひお役立てください。


1.ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは、人が引き起こす事故やトラブルのことです。「人的ミス」などと表現されることもあります。身近な言葉では「うっかりミス」もヒューマンエラーの一種です。

ヒューマンエラー対策の根本には、「ミスは必ず起こるもの」という考え方があります。また、ヒューマンエラーが起きる原因はさまざまです。あらかじめ多角的に対策を取ることが重要だと考えられています。


スイスチーズモデル理論

スイスチーズモデル理論は、イギリスの心理学者リーズンが提唱した理論です。スイスチーズはところどころ穴が開いていますが、1枚重ねるごとに貫通する穴の部分が少なくなっていきます。たとえばこのチーズ1枚1枚が、指差し確認やダブルチェック、コンピューターによる自動化など、エラーを防ぐ各要素にあたります。

つまり、多層的な対策を取るほどヒューマンエラーは減るという考え方であり、スイスチーズモデル理論は、ヒューマンエラー対策の基本と考えられています。

2.ヒューマンエラーが起きる3つの原因

人は、「認知」「判断」「行動」という順番でタスクを行います。ですから、どの段階でヒューマンエラーが起きたのかを3つに分類できます。


認知によるヒューマンエラー

認知によるヒューマンエラーは、認識していない、または間違って認識していることが原因で起きます。具体的には、コールセンターで「顧客の注文を聞き間違えた」「顧客番号を見間違えて入力した」などが認知エラーです。つまり、意図せず発生する「うっかり型」のミスに分類できます。

認知によるヒューマンエラーは、人に起因するものだけではありません。「エラー表示が小さくて見えない」「マニュアル内容が細かすぎて読みにくい」など、職場の整備不足が原因で発生することも多いといえます。


判断によるヒューマンエラー

判断によるヒューマンエラーとは、認知は正しくできたものの、判断を間違えることで発生するエラーです。それらが何を意味しているか、次にどのような行動を取るかといった判断に問題があった場合に発生します。

たとえば、「顧客情報の年齢が未成年だと確認していたのに、アルコール飲料の注文を受け付けてしまった」などは判断によるヒューマンエラーに分類できます。判断によるヒューマンエラーは、教育不足で発生することが多く、知識不足や思い込みなどによって、判断を間違ってしまう事例は少なくありません。


行動によるヒューマンエラー

行動によるヒューマンエラーは「認識」「判断」までは問題がなく、「行動」の段階で発生するエラーです。具体的には、「顧客の注文を復唱する際に言い間違えた」「注文個数の入力を間違えた」などがあります。

この段階のエラーは、手抜きや意図的なルール違反によって起きるケースがあることも特徴です。また、行動によるヒューマンエラーの原因は、業務の負担が大きいことが多いといわれています。

3.ヒューマンエラー対策は3段階

ヒューマンエラーを完全にゼロにすることは難しいといえます。状況を「発生前」「発生直後」「発生後」の3段階に分けて想定し、それぞれに見合った対策をすることが必要です。


(1) ヒューマンエラーを発生させない

ヒューマンエラーを発生させないためには、情報を収集して具体的な施策を検討することが重要です。特定の作業工程でミスが発生しているなら、たとえば画面表示に問題があり、情報を正しく認知・判断しにくい状況であることが考えられます。また、経験の浅いオペレーターによるヒューマンエラーが多発している場合は、教育時間の不足が疑われます。

いずれの場合にも、まず現状分析を行って原因を特定し、それに見合った対策を実行することが必要です。


(2) ヒューマンエラーの発生をすぐに検知する

ヒューマンエラーの発見が遅れるほど、被害が大きくなりやすいといえます。さらに、原因がわかりににくくなってしまう懸念もあります。そのため、ヒューマンエラーの発生をすぐに検知するために、チェックする機会を多く設けることが重要です。

具体的には「チェックリストを作成する」「ダブルチェックの仕組みをつくる」などが挙げられます。ツールによって画面にエラー検知をポップアップ表示したり、未記入の欄がないかを自動的にチェックする仕組みづくりも効果的です。


(3) ヒューマンエラーへの対応を迅速に行う

ヒューマンエラーに迅速に対応するには、マニュアルやガイドラインを用意し、あらかじめどのような対策を行うかを記載しておくことが重要です。また、意思決定をする責任者を明確に決めておくことも必要です。エラーが発生することを想定したシステムを運用することも効果的です。

たとえば、顧客からのクレームに対応できないと感じたとき、他の人にサポートを求められる機能があれば、管理者またはベテランのオペレーターにスイッチすることが可能です。

4.ヒューマンエラー対策に効果的な9つの方法

この段落では、具体的な施策として効果的なヒューマンエラー対策を9つ紹介します。


FAQを精査する

コールセンターの業務では、顧客からよくある質問をまとめたFAQ(Frequently Asked Questions)の用意が、ヒューマンエラーを防ぐために効果的です。しかし、回答がわかりにくい場合や、お客さまの意向に沿っていない内容のまま運用されていることも多くあります。常にFAQをブラッシュアップし、情報を更新していくことが大切です。

FAQの作成では「網羅性を高めるより頻出する質問に絞り込む」「検索のしやすさを重視する」などがポイントとなります。また、運用に有効な情報を現場で共有することも大切です。


業務の「見える化」を行う

業務の「見える化」とは、教育内容などを誰が読んでも理解できる文書や図表、フローチャートで作成しておくことをいいます。このようなマニュアルやガイドラインなどがあれば、正しい行動を習慣化でき、ヒューマンエラーを未然に防げます。

また、正しい行動を職場の全員が知っているので、間違った行動をすれば、本人だけでなく周りの人がミスや異常を感知できるようになるでしょう。

ヒヤリ・ハット活動を行う

ヒューマンエラーにはならなかったものの、「ヒヤリとした」「ハッとした」事例を集めて情報を共有することも重要です。さまざまな企業でヒヤリ・ハットの情報を共有することによって、未然に防止する活動「ヒヤリ・ハット活動」が行われています。この活動のアイデアは、「1つの大事件には29の小事故があり、その事故ごとに300の異常がある」というハインリッヒの法則が基になっています。

ヒヤリ・ハット活動は、オペレーターへの教育だけでなく、ヒューマンエラーを未然に防ぐための情報収集としても習慣化したい活動です。


ダブルチェック体制をしく

ヒューマンエラーの多くは、「うっかり」「ついつい」といったミスです。こうしたミスを防ぐにはダブルチェックが有効といえます。

ダブルチェックを実施する際に重要なのは、手順やルールを明確に体制化することです。手順やルールが明確でなければ、「誰かがチェックしてくれるだろう」と考えてしまい、逆効果になってしまうかもしれません。ダブルチェックが実施されたことを管理者が確認できるチェックリストがあれば、さらに効果的です。

業務のわかりやすさ、やりやすさを追求する

複雑な業務を繰り返していると人間の認知や判断能力は低下していくため、必然的にヒューマンエラーが起きやすくなります。業務フローや操作画面などは、できるだけわかりやすさ、操作のしやすさを追求しましょう。また、人間の記憶には限界があるため、「完了・未完了」「エラー・正常」など、状況を把握しやすい仕組みをつくることも重要です。

さらに、職場内が整理されていない状態で作業を行っている場合も、エラーが起きやすくなります。職場を整理整頓することで、ヒューマンエラーを減らしましょう。


組織全体の意識改革をする

ヒューマンエラーを減らすには、経営陣や管理者が対策の重要性を認識しなければなりません。企業を俯瞰した広い視野から、起こりうるエラーの種類や被害の範囲、経営に与える影響などを考慮して、取るべき対策を決めます。

また、ヒューマンエラーを減らそうと、職場が前向きになれるように働きかけることも必要です。ヒューマンエラーは起こるものという認識を共有することから意識改革を始めましょう。

コミュニケーションを大切にする

チームで助け合える雰囲気作りや、おかしいと思ったらすぐに相談・報告できる環境作りも重要です。管理者がすべてをチェックするわけにはいかないので、経験が少ないオペレーターがベテランオペレーターに質問できる仕組みや雰囲気を作ることも欠かせません。

毎日のミーティングなど、違和感がある点や疑問点などを、連絡・報告しやすい場を設け、早期発見・対処ができる体制にすることも効果的です。


適度に休憩を取る

疲労が溜まると筋肉が硬直して血のめぐりが悪くなり、集中力もなくなってしまいます。こういった状況もヒューマンエラーの原因になりえるので、適度に休憩を取れるタイムスケジュールを設定しましょう。間合いがうまくとれず、作業を続けてしまうスタッフを想定し、あらかじめ休憩時間を決めておくことも大切です。

ヒューマンエラーが発生する業務をやめる

ヒューマンエラー対策には、「機会最小」という考え方があります。これは、ミスが発生する業務自体をなくせば、ヒューマンエラーが減るというシンプルな考え方です。たとえば、「無駄な転記をなくす」などが機会最小の対策といえます。

また、人が直接関わる業務を減らすというのも有効です。チャットボットに業務の一部を任せ、FAQに対応した定型の応答をさせることも対策の一つとなります。オペレーターの業務負担が減ることから、間接的に他のヒューマンエラーを減らす効果が期待できます。

5.ヒューマンエラー対策は多角的に行うことが重要

ヒューマンエラーは完全には防げません。しかし、ヒューマンエラーの原因を多角的に捉え、具体的な施策を導入・実行することで減らすことができます。

NTTビズリンクの「ビズリンクAIチャットボット」は、有人のチャットシステムとの連携が可能です。一般的な質問はチャットボットが自動応答し、対応が難しいときは有人チャットへスムーズに切り替えることができます。ヒューマンエラーの多発に悩む既存のコールセンターへの導入にも、柔軟に対応できます。詳細なご案内をさせていただきますので、ぜひお問い合わせください。

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