
コールセンターは直接顧客と接する、企業の顔ともいえる部署です。不適切な応対を行ってしまうことで、企業の印象を左右する要因ともなるため、正しい言葉遣いでの応対を徹底したい、と担当者の方は常日頃考えているはずです。
この記事では、コールセンターにおける正しい言葉遣いについて解説いたします。併せて、言葉遣いの重要性や基礎知識などもご紹介します。ぜひ、顧客サービス向上にお役立てください。
1.コールセンターの言葉遣いの重要性とは?

顧客にとってコールセンターの対応は重要であり、応対の品質が高まることにより、顧客満足度向上につながります。その品質を上げるためには、まず、お問い合わせ内容に対し、スピーディーかつ正確な回答を行うことが大切です。
ただし、重要なのは対応の早さだけではありません。コールセンターはスタッフの顔が見えず、スタッフとの会話のみが顧客との接点となります。言葉遣いや丁寧な話し方が非常に重要なポイントになります。
2.コールセンターで使用する言葉遣いとは?
正しい言葉遣いでの応対を行うために、敬語や作法について解説いたします。
敬語
丁寧な言葉遣いでの応対には、言葉を何でも敬語にすることが正解ではありません。敬語には丁寧語、尊敬語、謙譲語の3種類があり、使い分けを誤ると逆に相手に対し、失礼になります。それぞれがどのような言葉なのかを解説いたします。

謙譲語
謙譲語とはこちら側がへりくだることで、相手側に敬意を表す言葉です。主語が自分や、自分が属する組織のときの動詞や、「弊社」などこちら側を表すものに使います。
丁寧語
丁寧語とは言葉を丁寧にすることで、相手に対して敬意を示すものです。名詞の頭に「お」「ご」をつける、語尾を「ます」「です」「ございます」などにするものが丁寧語です。
尊敬語
相手の持つ物や状態、動作などを高めて待遇することを言い表す言葉です。主語が相手側であるときの動詞に「なる」or「られる」をつけたり、「お客さま」など、相手側を表す言葉に「お」「様(さま)」「ご」をつけ丁寧に表現します。
作法としての言葉遣い
コールセンターのオペレーターは、ふさわしい言葉遣いでの応対が必要です。 オペレーターが身に付けておくべき「作法」の中で、その場にふさわしい代表的な「言い回し」、クッション言葉、イエス・バット話法、イエス・アンド話法の4つについて、くわしくご説明します。
オペレーターとしてふさわしい「言い回し」
コールセンターのオペレーターとして、顧客への応対がより丁寧になるような「言い回し」について、5つほどご紹介します。
- ・「そうですね」などのあいづち→「さようでございますか」
- ・「わかりました」→「おっしゃる通りです」
- ・「できません」→「いたしかねます」
- ・「わたし」「わたしたち」→「わたくし」「わたくしども」
- ・「どういたしまして」→「とんでもないことでございます」
こういった言い回しを使うと、言葉がより丁寧になります。
クッション言葉
クッション言葉とは相手に対して、依頼、断り、否定などを伝えるとき、本題の前に置く言葉です。クッション言葉を置くことで、そのままストレートに内容を伝えるより、相手に与える印象をやわらかいものにします。クッション言葉には次のようなものがあります。
- ・依頼するとき「恐れ入りますが」
- ・断るとき「あいにくですが」「ご意向に沿えず申し訳ございませんが」
- ・否定するとき「わたくしどもの説明が足りなかったのですが」
イエス・バット話法
イエス・バット話法とは、相手に対して否定をするときでも、最初に一度相手側の主張を受け入れてから、逆説を使って対話する話法です。顧客は自身の主張を受け入れられないと、いくらこちら側が正しくても納得していただけません。具体的には、以下のような言葉に「しかし」「ですが」などを使ってから、本題に入ります。
- ・「そう思われるのは当然です」
- ・「たしかにその通りです」
- ・「お気持ちはわかります」
- ・「わたくしも同様のことを思いました」
- ・「そのように思われたのですね。」

3.コールセンターにふさわしくない言葉遣いとは?

コールセンターでは、顧客に不快感を与えるような言葉遣いでの応対は避けなければなりません。ここでは、コールセンターにふさわしくない言葉遣いについて解説します。
専門用語
業界内では当たり前に使われる専門用語でも、顧客にとっては意味がわからず、理解できない場合があります。当たり前のように意味のわからない言葉を使われると、会話の内容が理解できず、顧客は不快に思います。
社内用語
社内用語は、使われる範囲が社内のみであり、専門用語よりも狭く、顧客には使ってはいけない言葉です。社内用語を顧客に使ってしまうことは、オペレーターが社内と社外の区別がついていないという証拠です。顧客に伝わらないどころか、企業への信頼感を失ってしまうことにもつながります。
書き言葉
話し言葉と書き言葉は別なものであり、コールセンターで書き言葉を使って応対することは顧客に違和感を与えてしまいます。書き言葉を使って応対しないようにしましょう。 コールセンターで間違えやすい書き言葉は、「弊社」「ご多用」などです。対話で使用するときは「弊社」ではなく「当社」、「ご多用」は「お忙しい」となります。
雑な印象を与える言葉
言葉が荒く聞こえる疑問形は、顧客に雑な印象を与えてしまいます。「~でいいです」「~なんですか?」という言葉は使用せず、「~で差し支えございません」「~でよろしいでしょうか?」を使えば丁寧に聞こえます。
また、第一声に「もしもし」などの略語を使うことも不適切です。まずは「お電話ありがとうございます」といった言葉で対応しましょう。雑な印象を与えないためには、情報を細切れに復唱する「部分復唱」もおすすめです。
ファミコン言葉
ファミコン言葉とはファミリーレストラン、コンビニエンスストアでよく聞く言葉のことをいいます。たとえば、「~でよろしかったでしょうか?」「こちら~になります」「~のほうはこれでいいでしょうか?」などです。これらはコールセンターで使う言葉としては不適切です。「~でよろしいでしょうか」「こちら~です。」「~はこちらでいいでしょうか?」などという言葉にしましょう。
4.言葉遣い以外にも!コールセンターのサービス品質向上術とは?

コールセンターのサービス品質を向上させるために、言葉遣い以外にすべきことを解説します。
顧客満足度の向上を意識した対応
よりよいコールセンターにするためには、オペレーター自身が「顧客ロイヤルティ」に貢献する対応をすることが大切です。顧客ロイヤルティとは、顧客が企業に対して愛着や忠誠心を抱いていただけることをいいます。顧客が自社の製品やサービスを愛し、自社を利用しようという気持ちになってもらえるよう意識して応対しましょう。
オペレーターの教育
コールセンターで実際に顧客と会話するのはオペレーターです。対応に満足していただくためには、オペレーターが話し言葉や作法、電話で好印象を抱いていただける話し方をしっかりと学ぶことが大事です。どのオペレーターが対応しても顧客に満足していただけるようにしましょう。
AIの導入
すべて有人で対応すると、人件費や施設面の制約などから、どうしても対応力に限界が生じ、電話がつながりにくいといった問題も発生します。その場合、一次対応はAIチャットボットを活用するのも一つの手です。興味をお持ちの方は、ぜひNTTビズリンクのチャット応対ソリューションをご検討ください。
5.まとめ
コールセンターの品質向上のためには、言葉遣いや作法が重要です。しかし、人材育成には時間がかかり、すぐに改善するのは難しいかもしれません。また、応対を急ぐあまり慌ててしまい、とっさに出てしまった言葉を修正するのもなかなか大変です。
そのようなケースには、文字でコミュニケーションを行う有人チャットの導入をおすすめします。
返答する前に目視して(読みなおして)正しい言葉遣いができているのか確認できます。
NTTビズリンクのチャット応対ソリューションには、ナレッジ機能も用意していますので、有人チャットの導入をお考えの企業にぴったりです。ナレッジ機能を利用すれば、お客さまからのお問い合わせの中での定型的な回答をナレッジデータとし登録できます。また、頻繁に使用する返答内容、模範的な応対データ、資料などを応対ナレッジとして登録し、活用することで、スピーディーで正確な応対が可能となります。
電話での対応に限界を感じている企業のご担当者さまは、ぜひ導入をご検討ください。