チャットは、ビジネスの場においても便利で欠かせないコミュニケーションツールの1つです。これまではカスタマーサポートやコールセンターといえば電話が主流でしたが、現在はチャットを利用する企業も増えています。
この記事では、チャットと電話の違いをふまえたうえで、それぞれのメリットや注意点を解説します。
目次
1.チャットとは?
2.コールセンターにおけるチャットと電話の使い分けについて
3.電話サポートの特長
4.チャットサポートの特長
5.コールセンターでチャットシステムを活用するポイント
6.まとめ
1.チャットとは?
チャットとは、「ネットワーク上でリアルタイムに他者とコミュニケーションを取ること」や、それを実現する仕組みのことです。英語で「chat」は雑談を意味する言葉で、主に文字を使っての会話と考えるとわかりやすいでしょう。1対1の会話はもちろん、複数人で同時に話をすることも可能です。
チャット用のアプリケーションには、個人用からビジネス用まで沢山種類があり、チャット機能が付いているSNSも珍しくなくなりました。メールよりも手軽に連絡が取れて、電話のように拘束されることがないのがチャットの魅力です。会話の内容がログとして残るため、「言った」「言わない」の水掛け論になることも防げます。
2.コールセンターにおけるチャットと電話の使い分けについて
チャットを自動で返すチャットボットは、コールセンターなどでの「24時間365日対応」を可能にする技術です。企業へのお問い合わせ件数は増加傾向にあります。しかし、柔軟で適切な応対ができる熟練のテレフォンオペレーターを育成するのは簡単ではなく、人材不足に悩んでいる企業も多いことでしょう。
チャットボットを導入すれば、お客さまのニーズを拾いながら、同時に業務の効率化やコストカットも狙えます。とはいえ、電話サポートとチャットボットにはそれぞれ一長一短があり、「チャットボットがあれば電話サポートは廃止してもよい」とはいえないのが現状です。
チャットボットができることと、できないことを見極めて、上手に活用していく必要があるでしょう。ここからは、チャットボットと電話サポートの特長を、それぞれ詳しく解説します。
チャットボットとは?
チャットボットとは、チャット(chat)とロボット(robot)を組み合わせた造語です。AI(人工知能/Artificial Intelligence)を利用して開発された「人と会話ができるプログラム」のことを指します。チャットボットの導入時には、よくある質問と回答のデータ(FAQ)をデータベースに登録する必要があります。そのデータをもとに、自動で回答する仕組みです。
かつてのチャットボットは、人間があらかじめ登録したパターンやシナリオの範囲内でしか返答ができませんでした。しかし、AI技術の発展によって、ある程度柔軟でスムーズな会話ができるようになりました。現在は、コールセンターなどカスタマーサポートの分野でも電話やメールのほかに、チャットボットを活用しようという機運が高まっています。
3.電話サポートの特長
電話サポートの特長は、お客さまからの電話による問い合わせにオペレーターが1対1で直接対応することです。インターネットが普及した現在も、問題解決の最も手軽で早い方法は、企業の窓口と直接コンタクトを取る電話だと考えている人は少なくありません。
電話サポートの良い点
問い合わせ内容をその場で細かくヒアリングしやすい
電話サポートのメリットの1つは、問い合わせの詳細をお客さま自身から直接ヒアリングできる点です。質問内容や連絡先の確認、希望する解決方法や日程調整といったやりとりを1回の電話で済ませられるため、迅速に解決につなげられます。
認識の齟齬が起きにくい
認識のズレが発生しにくい点も電話の良い点です。特に「込み入った話がある」「質問が複数ある」という場合、文字でやりとりするよりも直接電話で聞いたほうがスピーディーです。文字では細かなニュアンスが伝わりにくく、誤解が生じることもあります。
幅広い年代の問い合わせ客に対応できる
お客さまの年代を問わないことも電話のメリットです。高齢者のなかにはIT技術に苦手意識を持つ人も珍しくありません。直接会話ができる昔ながらの電話のほうが、気軽に利用できるという人も多いでしょう。
電話サポートの注意点
営業時間外での対応が困難
電話サポートを営業時間外に実施する体制を作るのは困難です。しかし、夜間や週末でないとお問い合わせの時間が作れないお客さまも少なくありません。週末に電話が集中すると「電話がなかなかつながらない」といった状態になりやすく、お客さまの不満が膨らみます。
人的コストがかかりやすい
電話サポートでは1つの電話に1人のオペレーターをアサインするのが基本です。ラインが少ないとお客さまの待ち時間が長くなりますが、電話を増やせば人的コストがかさみます。顧客満足度を下げない方法で業務の効率化を進める必要があるでしょう。
インターネット上のサービスへの誘導や連携が難しい
電話を使ったお問い合わせをインターネット上のサービスに誘導するのは簡単ではありません。サイトのアドレスを電話で正確に伝えるのは極めて困難です。また、そもそも電話でお問い合わせをする多くのお客さまはその場で問題解決できることを期待しているのです。
4.チャットサポートの特長
チャットサポートとは、ネットワーク上で文字を使ってお客さまのお問い合わせに対応する方法です。最大の特長は「即時性」で、待ち時間を大幅に短縮できるのがメリットといえます。同時に複数のお問い合わせに対応でき、ネットワーク上のサービスに誘導しやすいので、売上アップも期待できるでしょう。
チャットサポートの良い点
365日24時間稼働させられる
365日24時間稼働できるチャットボットによって新たな顧客の獲得につながる可能性も高まります。ユーザーにとって、いつでもすぐに問題解決ができることは大きなメリットです。
定型の質問であればボットが回答できる
「〇〇の料金はいくらですか」「パスワードを変更する方法が知りたい」などといった定型タイプのお問い合わせは、チャットボットの得意分野です。頻繁に発生するお問い合わせは、「よくある質問」としてチャットボットのデータベースに登録すると、オペレーターの負担を軽減できます。
会話のログを残せるため、あとで参照したり、データベース化したりしやすい
チャットはテキストベースの会話なので、ログがそのまま記録として残ります。顧客対応に問題がなかったかどうかをあとでチェックすることが可能なので、クレーム対応にも役立つでしょう。データベースに反映させるのも容易です。
オペレーターの教育コストがかからない
チャットボットには、教育コストがかかりません。オペレーター業務のうち簡単なお問い合わせをチャットボットに任せれば、教育にかかっていたコストや人材をより有効活用できます。
チャットサポートの注意点
文字で伝えるのが難しいお問い合わせには向かない
チャットボットは、短い文章の簡単なお問い合わせには適していますが、文字で説明するのが難しいお問い合わせには向きません。たとえば、お客さま自身も「どう質問すればよいのかわからない」といったケースがこれに該当します。
頻出ではない質問や複雑な質問への対応はボットではできない
めったにないお問い合わせや、複雑な説明が必要な質問への対応にもチャットボットは不向きです。チャットボットの導入を決める前に、「自社の業務にチャットボットが適しているのか」や「どんなことを任せられるのか」を把握しておく必要があるでしょう。
5.コールセンターでチャットシステムを活用するポイント
多くの企業がチャットシステムの活用に乗り出しています。チャットを利用したカスタマーサポートはチャットサポートとも呼ばれており、主にボット型と有人チャットの2種類があります。チャットシステムの導入を検討している企業は、以下のポイントを参考にしてください。
ボット型のチャットを活用する場合のポイント
データを集めてボットに反映する体制を整える
ボット型のチャットを活用するポイントは、日々発生するお問い合わせの内容をデータ化して、それをデータベースに反映させる仕組みを構築することにあります。チャットボットが不適切な対応をしていないかを定期的にチェックして、改善していくことも重要なポイントです。
オペレーターの対応もできるようにしておく
ボットが適切に対応できないときは、それを素早く検知して、お客さまの不満が募る前にオペレーターに引き継ぐことが大切です。チャットに使っている媒体やアプリケーションの種類によってもベストな引き継ぎの方法は変わってきます。
有人チャットへ切り替えができるチャットを活用する場合
有人チャットとは、ボットではなく人がチャットでお問い合わせに対応する仕組みです。チャットボットが対応できないお問い合わせがあったとしても、切り替えがスムーズでログが引き継げるシステムなら効率的に業務を遂行できます。お客さまにストレスを与えることなく、スピーディーな問題解決につなげられるでしょう。
以下で、切り替え機能付きのチャットの活用ポイントを解説します。
チャットの向こうのお客さまを待たせない意識を持つ
お客さまにとってのチャットのメリットは、リアルタイムのやりとりを手軽にできることです。そのため、チャットのオペレーターには、お客さまを待たせないプロ意識が求められます。「即時性」を損なう対応をしないことは、有人チャットの重要なポイントの1つです。
有人対応したものをボットに還元する
有人チャットで頻繁に対応するお問い合わせは、「よくある質問」に反映させてチャットボットのデータベースに登録しましょう。登録後はチャットボットでの対応が可能になるので、業務をさらに効率化できます。
6.まとめ
この記事の執筆監修者情報
監修者:エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社
NTTビズリンクは、企業向けデータセンターサービスを提供する会社として2001年7月にスタートしました。
その後テレビ会議多地点接続サービス事業などの統合により、お客さまのクラウド・アウトソーシングニーズに応える為に、統合的なICTアウトソーシングビジネスを展開してまいりました。 現在、設立以来培ってきたデータセンターサービスとテレビ会議サービスの運用力を強みとして展開している、Communication&Collaboration Solutionsという新たな事業領域の1つとして、「コンタクトセンターソリューションサービス」をご提供しております。
所在地:〒112-0002
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