昨今、Webサイトやアプリなどに、チャットボットを導入する企業が増えてきています。 業務の効率化や顧客満足度の向上など、さまざまな効果が期待できるチャットボットは、年々種類も豊富になりつつあります。
この記事では、チャットボットとは何か、チャットボットの仕組みやメリットなどを紹介します。活用例や自社にチャットボットを適した形に育てる方法も合わせて解説しますので、ぜひ自社のチャットボット導入に役立ててください。
目次
1.チャットボットとは?
2.チャットボットの仕組み
3.チャットボットの活用例
4.チャットボットのメリット・課題は?
5.自社に合わせたチャットボットサポートの作り方
6.まとめ
1.チャットボットとは?
チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ボット(自動化するプログラム)」を組み合わせた用語で、ユーザーが入力した文章や音声に対し、自動で返答をするプログラムです。
あらかじめ登録した音声や文章、単語などを活用し、人間同士の会話のようなやりとりを行ないます。簡単なお問い合わせや注文対応のほか、コミュニケーションや案内など活用方法はさまざまです。
チャットボットの歴史は意外に古く、1966年に米国で誕生した「ELIZA(イライザ)」が始まりとされています。その後は技術の進化にともない、2011年ころからはスマートフォンやアプリなどに活用されるようになりました。現代ではSNSやチャットアプリの普及が背景となり、各企業が自社サービスへの導入を検討するなど盛り上がりを見せています。
またチャットボットツールはさまざまあり、チャットボットを自ら開発しなくとも、自社のサービスに組み込みことが容易になってきています。
2.チャットボットの仕組み
チャットボットを動かすためにはプログラムが必要です。仕組みには大きく分けて3種類あり、それぞれのメリットやデメリットも異なります。
ルールベース型(プログラム型)
ルールベース型とは、「想定される質問や回答をあらかじめ入力しておくタイプ」です。お問い合わせの内容や自社商品の傾向から、多く寄せられがちな質問や単語をキーワードとしてプログラムします。
メリットとしては、FAQなどの単純なお問い合わせ対応であれば、簡単に導入できる点です。デメリットとしては、プログラムされたルールをもとに返答を行なうので、ルールから外れた質問には答えることができません。
会話のパターンを人力で設定していかなければならないため、細かな対応をしようとすると膨大なデータ登録が必要になります。
機械学習型(AI型)
機械学習型とは、あらかじめ登録したデータやユーザーが入力したデータを収集し、回答の精度を上げていくタイプです。収集したデータをAIが解析することで、統計上回答としてもっとも正しいものを返信します。前述のルールベース型に対し、機械学習型はさまざまな質問・回答パターンの学習が可能です。
複合型
複合型とは、前述で解説した「ルールベース型」と「機械学習型」を組み合わせたタイプです。あらかじめ回答パターンを人力でプログラムしておき、表記ゆれや細かな会話文などはチューニングを繰り返すことで回答精度があがります。複合型のメリットは、「ルールベース型」と「機械学習型」それぞれの良い所を組み合わせることで、回答精度を高めることができる点です。
3.チャットボットの活用例
チャットボットを実際に導入した場合の活用例を紹介します。
OS搭載のチャットボットサービス
iPhoneやAndroidなどのスマートフォンに搭載されている機能学習型のチャットボットです。テキストだけではなく音声でのやりとりが行なえるのが特徴で、AIアシスタントとも呼ばれています。もっともイメージしやすいものでは、「Siri」や「Googleアシスタント」などがあります。
スマートフォンのアプリ
現代では数多くのスマートフォンアプリが登場していますが、さらに便利に活用してもらえるよう、アプリにチャットボットを導入する企業も増えています。
例えば、アパレルメーカーのアプリでは、ユーザーが入力した希望の条件などからおすすめの商品や店舗、在庫状態などを案内します。また、チャットボットの案内だけではなく、ほかのユーザーから寄せられたおすすめ情報も紹介するといった活用をするアプリもあります。
LINE・Facebookなどのコミュニケーションアプリ
LINEなどのSNSサービスが普及するにつれ、LINEの公式アカウントや、Facebookのメッセンジャーなどにチャットボット機能が実装されるようになりました。荷物の配送状況や日時指定が可能なタイプ、コミュニケーションも兼ねた会話が可能なタイプなどがあります。
また、保険会社の場合は簡単な診断はチャットボットが行い、細かい内容はオペレーターに切り替えて効率化を実現している例もあります。
Webサイトのサービス
Webサイトでのサービスでは、Webサイトを閲覧しているユーザーのカスタマーサポートを行なっています。簡単なFAQやお問い合わせなどの対応をし、多くの場合、親しみやすいキャラクター設定がされているのが特徴です。よくある質問を表示させたうえで、さらに知りたい点などを入力してもらうことで、チャットボットがフォローする仕組みです。
自治体
多くのお問い合わせが集まる自治体では、特に多く寄せられるごみの分別方法や出し方、手数料などを案内できるチャットボットを導入した例があります。結果、日中のお問い合わせが減ったことで業務効率が向上し、地域の活性化につながりました。
4.チャットボットのメリット・課題は?
実際にチャットボットを導入した場合、どのようなメリットや課題があるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
チャットボットを活用するメリット
チャットボットを活用する際のメリットを紹介します。
人件費をカットできる
従来のお問い合わせ業務では、多くの人員配置が必要でした。しかし、チャットボットを導入することで、人が行なっていた対応業務の一部を自動化し、スタッフは本当に必要なお問い合わせのみに集中することができます。限られた人数でも運営ができるため、人件費がかさむこともありません。
営業時間外でも休みなく対応できる
チャットボットは24時間稼働させられるため、営業時間に縛られずにユーザー対応が可能です。ユーザーは深夜でも早朝でも知りたい回答が得られるため、離脱防止にも役立ちます。
同時に複数件の対応が可能
電話や有人チャットの場合、大量のお問い合わせが集中した場合には対応しきれず、なかなか繋がらないというクレームにもなりかねません。しかし、チャットボットを導入すれば同時に複数の対応ができるため、顧客満足度の向上も期待できます。
ユーザーとの接点が増える
従来の受け身であるお問い合わせ業務では、ユーザーからのアプローチを待つしかありませんでした。チャットボットでは、企業側からもサポートとしてユーザーへのアプローチが可能となり、新たな接点を持つ機会が増えます。
ユーザーが気を遣わずお問い合わせできる
電話や対人でのやりとりが苦手、面倒くさいと感じるユーザーは一定数いるものです。チャットボットであれば、相手はプログラムということもあり、気軽にお問い合わせをしやすくなります。
検索せずにすぐに情報が入手できる
疑問をすぐに解消したいユーザーにとっては、検索したり調べたりする時間をわずらわしく感じるものです。自動で返信されるチャットボットであれば、すぐに必要な情報が得られるため、顧客満足度の向上にも繋がります。
チャットボットの抱える課題
多くのメリットがあるチャットボットも、残念ながら万能ではありません。チャットボットは文章を解析して返信しているプログラムなので、人間の自然な会話を真似することは難しいと言われています。
人間同士の会話では話の流れから単語の意味を把握しますが、チャットボットは文脈の理解ができません。そのため、会話が長くなるほど精度が落ち、正確な返答ができなくなります。 会話の精度を上げていくためには、誤った学習データを修正するなど、定期的にメンテナンスを継続する必要があります。
5.自社に合わせたチャットボットサポートの作り方
チャットボットを顧客サポートに効果的に活用するためには、自社に適した形にセットアップすることが大切です。導入しただけでは意味がなく、定期的にメンテナンスを行なわなければなりません。チャットボットが解決できなかった場合のデータを集め、シナリオを見直すことで、正しい返答がされるようにアップデートを重ねます。
しかし、そうしたデータもユーザーに使ってもらわなければ得られません。 データを多く集めるためには、ユーザーとコミュニケーションを兼ねる、効果的な見せ方をするなどの工夫をし、利用を促進する必要があります。
答えられなかった質問に対しては、オペレーターが対応できるよう誘導するなどの回避策が必要です。シンプルな質問はチャットボットが適切な回答をし、難しいものはオペレーターが対応するなど、チャットボットとコールセンターが状況に応じて柔軟な対応ができるような仕組みを作る必要があります。
6.まとめ
チャットボットにはメリットが多く、工夫により活用の仕方もさまざまです。より効果的に活用するためには、自社が抱える課題や課題に適したチャットボット、ツールの仕組みなどをしっかり理解し、自社に合ったチャットボットを育てていく必要があります。
NTTビズリンクのチャット応対ソリューションは、最短2週間からAIチャットツールの運用を開始できます。また、有人チャットとAIチャットボットがあり、用途に合わせて切り替えることが可能です。
この記事の執筆監修者情報
監修者:エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社
NTTビズリンクは、企業向けデータセンターサービスを提供する会社として2001年7月にスタートしました。
その後テレビ会議多地点接続サービス事業などの統合により、お客さまのクラウド・アウトソーシングニーズに応える為に、統合的なICTアウトソーシングビジネスを展開してまいりました。 現在、設立以来培ってきたデータセンターサービスとテレビ会議サービスの運用力を強みとして展開している、Communication&Collaboration Solutionsという新たな事業領域の1つとして、「コンタクトセンターソリューションサービス」をご提供しております。
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