少子高齢化による生産年齢人口を受け、小売業の店舗においては慢性的な人手不足が深刻な問題となっています。さらに、コロナ禍により、店舗の営業時間の短縮や感染拡大予防対策の徹底が求められたことで、その経営はより一層厳しい状況が続いています。
こうした状況を受け、小売業においてはオンライン・オフラインをミックスしたハイブリッド戦略（オムニチャネル戦略）に注力する企業が増えつつあります。一方で、こうした戦略を徹底するためには、企業側の課題が少なくありません。
最近では、そうした課題を解消するソリューションとして、デジタルツインに注目が集まっています。
本コラムでは、小売業がオムニチャネル戦略をとる際に生じがちな課題と、デジタルツインを活用した解消方法について、詳しく解説していきます。
目次
1.小売業の店舗運営にまつわる、高負荷な業務
2.高負荷な業務の原因とは…
3.小売業の店舗運営におけるデジタルツイン活用術
4.NTTビズリンクのデジタルツイン「Beamo™」で小売業の課題を解消！
小売業の店舗運営にまつわる、高負荷な業務
ここでは、小売業において企業がオムニチャネル戦略をとる際、特に高い負荷が生じる可能性のある業務について紹介していきます。
新規店舗の企画・開発
流動性の高い市場に対応するため、小売業においては店舗をダウンサイジングし、その分、ECに注力する企業が少なくありません。しかし、店舗をダウンサイジングする際には、在庫管理や販売のスペースについて、従来のような自由度がなくなるため、業態やターゲットに合わせた不動産選びをはじめ、企画・開発業務をより慎重に行う必要があります。
ショールーミング店舗のレイアウト設計
小売業においては、「在庫している商品を販売する」といったビジネスモデルが定着しています。一方こうしたモデルでは、在庫を抱えることでキャッシュフローが減少してしまうため、資金繰りに関するリスクが付いて回ります。そこで最近では、特にアパレル業界を中心に、店舗ではサンプル品を展示し、購入はオンラインストアで、という「ショールーミング店舗」を展開する企業が、アパレル業界を中心として増えつつあります。
従業員への教育・研修
小売業において、企業がオムニチャネル戦略をとる上では、従来とは違ったオペレーションが必要になることから、従業員に改めて店舗・ECサイト運営に関する教育・研修を実施することが必要です。例えば、前述したショールーミング店舗については、来店客がスムーズにECで商品を確認できるようなオペレーションについての研修が求められます。
高負荷な業務の原因とは・・・
ここからは、前述した小売業の店舗運営にまつわる業務が、従業員に高負荷を与える原因について、それぞれ解説していきます。
新店舗の不動産情報について、社内のイメージ共有が難しい
小売業の企画・開発においては、新規店舗の開発予定地や既存店舗の設備への現地訪問が欠かせません。多くの関係者が現地のイメージを正確に共有することで、より当初のコンセプトに近い店舗の仕上がりが期待できます。
一方で実際には、既存店舗の業務が多忙なことから、担当者の作成した資料を基にさまざまな意思決定をせざるを得ないケースが少なくありません。結果として担当者は資料作成のために多くの時間を割く必要が出てきます。
さらに図面や写真だけの資料では、関係者に現地のイメージが十分に伝わらない懸念もあります。
店舗レイアウトのシミュレーションパターンが限定されている
前述したようなショールーミング店舗を新たに展開する場合、在庫を抱えている状態と比較してディスプレイにスペースを割くことができるようになるため、より店舗レイアウトの柔軟性が高まります。しかし、図面上でのシミュレーションでは実際のイメージが掴みづらく、レイアウトの良し悪しを判断することは容易ではありません。また、そうしたシミュレーションのための紙資料作成には多くの時間を要することから、同時に複数のパターンを試すようなことが難しく、判断の選択肢を狭めてしまいます。
教育・研修を実施する本部担当者が、本来業務に注力できない
多店舗展開している小売業者の場合、オムニチャネル化に伴い、本部担当者が各店舗に出向きつつ、新たなオペレーションについての教育・研修を行うケースが少なくありません。店舗レイアウトや販売手法が大きく変更されることで、実店舗での説明でなければオペレーションのイメージがつきづらいためです。
ただし、本部担当者の店舗の教育・研修以外にも多くの実務を抱えている場合が多く、その都度各店舗に出向くことで、そうした実務に手が回らなくなってしまうおそれがあります。
小売業において、店舗運営に携わる方の中には、このような課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。ここからは、こうした課題を解消するためのデジタルツインの活用術について詳しく解説していきます。
小売業の店舗運営におけるデジタルツイン活用術
①3D Viewによる直感的なイメージでスムーズな情報共有
図面や文字だけの資料では伝わりづらい情報も、3D Viewのリアルな映像を通じて直感的に共有することで、社内の現地に対するイメージのずれを少なくすることが可能です。
具体的なイメージを基にスムーズな情報共有ができるので、何度も内容のすり合わせをする必要がなくなり、打ち合わせの回数削減にも繋がります。
②店舗レイアウトを効率的にシミュレーション
最近では、3D Viewで表示された着工前の建物内や室内空間の任意の場所に、完成予定のイメージ（画像や動画など）をタグ情報として格納できるデジタルツイン製品もあります。こうした製品を活用することで、今後の店舗計画をメンバーに瞬時に共有しつつ、柔軟に意思決定を行うことができるようになります。
③3D Viewによるイメージ共有で教育・研修を効率化
Web会議はもとより、座学研修においても、紙や端末画面上の二次元的な情報だけで、現場のイメージを伝えることは困難です。その点、デジタルツインを導入することで、3D Viewのリアルな映像を通じて店舗従業員に教育・研修できるようになります。
リアルに再現された店舗のイメージを共有しつつ、店舗のオペレーションについての説明することで、店舗従業員の理解度がより深まり、研修の効率化やコストの削減につながります。
NTTビズリンクのデジタルツイン「Beamo™」で小売業の課題を解消！
このように、デジタルツインを活用することで、小売業の店舗運営にまつわる多くの課題を解消することができます。
一方で、実際に本コラムで解説したような課題をお持ちの方の中には、デジタルツインについて「先進的すぎて、実務には結び付かないのでは」「自社に扱える人材がいない」「運用するために必要な研修コストが高額になりそう」といったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、NTTビズリンクでは、誰でも簡単に利用できる「Beamo™」をご提供しています。
「Beamo™」は、デジタルツールに使い慣れていない方でも、直観的に操作できるUIで、小売業の課題はもちろん、飲食業や不動産業など、さまざまな業界・業務の課題解消にご活用いただけます。
店舗や建物にまつわる業務に課題を感じている方は、ぜひNTTビズリンクまでお気軽にお問い合わせください。
※「Beamo™」は3i Inc.社の商標です。
