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テレビ会議の基礎知識① ~基本構成とテレビ会議端末の選び方~

1.いまさら聞けない!テレビ会議の基礎知識

従来より多くの企業で当たり前に使われてきたテレビ会議ですが、緊急事態宣言に伴うリモートワークの推進により、一層の広がりを見せています。自宅やオフィス、取引先など、移動のリスク、コストを減らし、業務をスムーズに進めるために欠かせないツールとしてテレビ会議環境の見直しを進めている企業もいらっしゃるでしょう。

 

ただ、当たり前かつ重要なツールであるからこそ、基本をしっかり押さえて確実に導入を成功させたいものです。これから複数回に分けて『テレビ会議の基礎知識』について説明していきます。第一回は基本構成編となります。

2.テレビ会議システムの種別

一口にテレビ会議と言ってもいくつかの種類があります。

 

まず、テレビ会議とWeb会議の違いについて説明します。それぞれ厳密な定義があるわけではありませんが、一般的には、専用に製造された機器を利用して会議室に据え置き型で設置して利用するタイプを『テレビ会議』、パソコンなどのパーソナルデバイスを利用してソフトウェアをインストールして利用するタイプを『Web会議』として使い分けることが多いです。本稿で取り扱うのは前者の『テレビ会議』ですが、現在においては両者の機能には重なる部分も多くあり、その垣根は以前より曖昧になってきました。

 

また、同じテレビ会議でも、いくつかのタイプがあります。以前はISDN回線を利用するタイプもありましたが、ISDNが各国で収束傾向の今、新規で導入されるケースはほとんどないと考えて良いでしょう。

 

さらにIP回線を使うテレビ会議では、大きくH.323という規格と、SIPという規格のものが一般的に使われています。どちらも同様にIPネットワーク上で映像と音声を使ったコミュニケーションに対応していますが、日本ではH.323のテレビ会議がより普及しています。本稿ではH.323のテレビ会議について解説します。

3.テレビ会議システムの構成要素

テレビ会議を利用するために必要な構成要素を見てみましょう。それぞれ必要に応じて導入・利用する形になります。

 

テレビ会議端末

H.323という規格に対応したテレビ会議端末が必要になります。基本的には規格に対応している端末同士や多地点間の会議の接続が可能ですが、一部機能によっては互換性がない場合もあるので注意が必要です。映像の品質は通信速度、カメラの性能、画像圧縮技術などによって変わります。音声に関してはエコーキャンセラー機能というものが実装されており、それによりハウリングやエコー(相手側に送った声が返ってくる現象)を防いでいます。一昔前はこのエコーキャンセラーの技術が各メーカーの腕の見せどころでしたが、最近はどちらのメーカーでも差が無いくらい安定しています。また、機器の操作はリモコンで実施する機種がほとんどですが、タッチパネルで操作できるタイプもあります。

 

ネットワーク

基本的にはIPネットワークであればインターネットから社内ネットワークまで回線の種類を問わず利用できます。コストと品質を検討してご導入ください。

品質やセキュリティを重視した場合には通信キャリアの提供するIP-VPNサービスがお勧めですが、コスト重視の場合にはインターネット経由でも利用可能です。ただし、社内網経由でインターネットを利用する場合には特にNAT(Network Address Translation)などのアドレス変換やFirewallなどが間にあるとうまく利用できない場合が多いため注意が必要です。また、十分な帯域が確保できるか、遅延ジッタが一定以下に収まるかといった通信品質がテレビ会議の映像・音声の品質に大きく影響してきます。利用するネットワーク自体の性能や、テレビ会議以外のデータが流れるネットワークの場合には他の利用との影響を十分注意する必要があります。テレビ会議に影響が出る場合もありますし、他のアプリケーションの利用に影響が出る場合もあります。

 

多地点接続装置

1対1でテレビ会議を行うだけであれば必要ありませんが、3拠点以上のテレビ会議を行う場合に必要になります。テレビ会議端末によっては4拠点程度の多地点接続機能をソフトウェアで持っているものもありますが、そういった機器を利用しない場合やそれ以上の拠点数でテレビ会議を行う場合には多地点接続装置を利用します。オンプレミスで購入して自社設置することも可能ですし、クラウドサービスを利用することも可能です。

 

ゲートキーパー

H.323対応のテレビ会議で利用する呼制御装置です。IPアドレスとテレビ会議端末や多地点接続装置などの関連付け、呼制御に利用します。また、内線番号の管理、ネットワーク帯域の管理やアクセス制限などにも利用できます。特に端末数が多い場合はゲートキーパーを利用して管理をすることが多いです。

 

ゲートウェイ

H.323対応のテレビ会議と、上述したISDN回線を用いるH.320という規格に対応したテレビ会議との間を相互接続するなど、異なる規格同士を相互接続する装置です。例えばIP-ISDNゲートウェイを利用すると、IPとISDNのテレビ会議端末双方を利用した1対1の接続や、IPとISDN対応の端末を複数混在した会議などの実施が可能になります。他にも規格によりさまざまなゲートウェイ装置が存在しています。

4.テレビ会議端末の選び方

テレビ会議の基本構成を見てきましたが、実際に使うユーザーが触るのはほぼテレビ会議端末のみと言ってよいでしょう。ここではテレビ会議端末の選び方を解説します。

 

テレビ会議端末の種類

H.323に対応した機器はいろいろなメーカーから多種の機器が販売されています。簡単に分類すると以下のようになります。

 

ルームタイプ

テレビやディスプレイに接続して主に中規模以上の会議室で利用する専用タイプです。カメラもマイクも高品質で、多人数が参加する会議でも快適に利用できます。機種によって、カメラの倍率や、外部入出力端子、端末多地点機能など差異があります。価格も20万円程度のエントリーモデルから数百万円程度の立派なものまでかなり幅があります。必要な機能や品質によって使い分けができます。

 

オールインワンタイプ(一体型)

モニター・スピーカー・カメラ・マイクが一体のタイプです。コンパクトで持ち運びしやすく、配線も簡易なため小規模会議室や打ち合わせ卓などでの利用に最適です。ただし多くの場合カメラ性能やマイクの収音範囲には限界があるため、多くとも1-2名程度での利用時に推奨されます。価格は20万円程度からスタートしますが大型のものですと数百万円まで存在します。

 

テレビ会議端末選択のポイント

基本的には利用シーンによる機器のタイプと必要となる品質、価格を比較して選択します。下記については最低限チェックしておくと良いでしょう。

 

利用したい通信速度や通信プロトコルに対応しているか

「384kbpsで利用したいが対応しているか」「H.323に対応しているか」確認します。特に古い機種が混在する場合は通信プロトコルに互換性があるか注意が必要です。

 

実際に利用する会議室などの場所に置いて利用するにあたって問題がないか

特に広い部屋の場合には、カメラの倍率(光学/デジタル)、マイクの感度や接続できるマイクの数の検討が必要です。外部機器で拡張することも可能ですが、高額になるため、特別に予算を持っていない場合はメーカー純正機器で構築したほうが良いでしょう。

 

映像・音声の品質はどうか

機器の持つ圧縮方式などによってもある程度判別できますが、実際に体験してみるのが一番です。また、特に映像は利用する環境(背景など)によりかなり変わります。販売している企業のデモ環境は逆光にならないように注意してあったり、人物がはっきりするように背景を工夫したりしていますので、実際に導入した場合にデモ時よりも品質が劣っているように感じることがありますので注意しましょう。

 

既存の端末やMCUとの接続に問題がないか

既存の端末とあわせて運用する場合には相互接続性などを考慮する必要があります。同じ規格に対応していても接続できない、バージョンが違うことである機能が使えないなどがあるため、事前に確認を行うとよいでしょう。

 

機器がもつ特別な機能の必要性の有無

機器によってはメーカーが工夫をこらした独自の機能を搭載しているものもあります。ただし、その場合には他の機種や他のメーカーの機器と接続する場合やMCUを利用した多地点会議時にはその機能が利用できないことがあるので事前に確認が必要です。

5.まとめ

今回はテレビ会議の基礎知識として、全体の構成とテレビ会議端末の選び方について解説しました。実際にテレビ会議環境を構築する上では、他にもネットワークや通信方式の違いなど検討項目はさまざまですので、次回以降で引き続き解説します。基礎知識をしっかり押さえてテレビ会議導入を成功させてください。

 

※本記事に記載の商品名、サービス名は各社の登録商標または商標です。

この記事の執筆監修者情報

監修者:エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社

NTTビズリンクは、企業向けデータセンターサービスを提供する会社として2001年7月にスタートしました。

その後テレビ会議多地点接続サービス事業などの統合により、お客さまのクラウド・アウトソーシングニーズに応える為に、統合的なICTアウトソーシングビジネスを展開してまいりました。 現在、設立以来培ってきたデータセンターサービスとテレビ会議サービスの運用力を強みとして、Communication&Collaboration SolutionsとData Center Integrated Solutionsという新たな事業領域のビジネスを展開しています。

所在地:〒112-0002

東京都文京区小石川1丁目4番1号 住友不動産後楽園ビル

会社概要:https://www.nttbiz.com/company/outline/

 

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