横浜市立箕輪小学校は、開校と同時に臨時休校となるなど、新型コロナウイルス感染症の拡大によってまだ1日も「普通」の状況がありません。そうした中で、教職員のみなさまは、「子どもたちの学びを止めない」ことを第一に考えて教育活動を実施してきました。
運動会のようなイベントには、とりわけ繊細な配慮が求められます。初年度は「保護者の方は1名のみ」という形で無事に実施したこともあり、2年目の2021年も同様かそれ以上の形を目指していたと校長の井上強先生は明かします。ところが、状況はどんどん悪化していきました。6月下旬からいわゆる「第5波」に突入し、8月20日には過去最多となる25,851人の新規感染者数を記録したのです。
「運動会は10月23日でしたので、この状況が続いたら『保護者の方はゼロで子どもたちのみ、かつ子どもたちも学年ごとに入れ替え』という形にせざるを得ないと思いました。しかし、保護者の方がいない運動会は、子どもたちの気持ちも高まらないだろうと考えました」(井上先生)
そこで、ライブ配信を検討し始めたと井上先生は話します。同年6月に文部科学大臣が定例会見で「(ライブ配信については)積極的な取組をしていただいてよろしいんじゃないかなと思っております」と発言(※)していたことも後押ししました。
※2021年6月15日 萩生田光一文部科学大臣記者会見
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00170.html
「しかし、ライブ配信の経験は一切ありませんから、何をどうしたらいいのか見当もつきません。どんな設備が必要なのか、どのような手順で準備を進めればいいのか、どのくらいのコストがかかるのか全くわからないわけです」(井上先生)
しかも、教職員のみなさんにはすでにコロナ対応で大きな負担がかかっています。準備期間がたった2か月弱と時間のない中で、経験も知識もないライブ配信を教職員のみなさんが行うのは現実的に不可能でした。限られた予算で、保護者や子どもたちが満足できる品質のライブ配信を実現できる協力事業者を探さなければならなかったのです。