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株式会社出前館 様

株主の納得感を最大化するバーチャルオンリーの運営術




株式会社出前館 様
取締役 志賀 綾子 様(写真左)
管理本部 本部長 柴田 佳三 様(写真右)
(会社概要)
全国47都道府県に展開する国内最大級のデリバリーサービス「出前館」を運営。
「テクノロジーで時間価値を高める」をミッションに掲げ、人々の生活や時間をより価値あるものにするべく、1999年設立以来着実に成長を遂げる。
単なるデリバリーサービスにとどまらず、日本社会が直面するさまざまな課題の解決にも取り組んでおり、地域の人と人を繋ぎ、ライフインフラとして地域経済の更なる活性化を目指している。

【課題】

●「テクノロジーで時間価値を高める」という自社ミッションを掲げる中で、物理的な距離が制約となり、遠方の株主が参加を断念せざるを得ない状況に課題を感じていた。
●過去のバーチャルオンリーにおいて、音声の鮮明さや映像切り替えの安定性に改善の余地があり、より質の高い視聴環境の提供を模索していた。
●限られた事務局体制で、株主からの多様な質問に対し、社内の専門部署が迅速かつ正確に連携して回答できる運営スキームの構築が急務であった。

【効果】

●出席者の約70%が関東以外からのアクセスとなり、バーチャル出席という選択肢を通じて、幅広い株主への対話の機会を広げることに成功。
●専門スタッフによる現場支援とリハーサルにより、運営側の心理的負担を軽減。経営陣が株主との対話に集中できる、安定した配信環境を実現。

出席者はリアル総会の2倍超、うち関東以外のアクセスが約70%。
全国の株主が平等に出席可能なバーチャルオンリーは、自社のミッションとも深く合致

●遠方の株主も移動の負担なく参加できる環境を整え、全国各地から出席できるよう、対話の門戸を拡大。
●自社のミッションである「テクノロジーで時間価値を高める」を尊重した総会運営は、多くの株主から新たな出席の形として肯定的に受け止められている。

―――2022年からバーチャルオンリーを開催されていますが、その理由をお聞かせください。

柴田:株主総会は、株主の皆様と当社の役員が直接向き合うことができる、非常に貴重な機会であると考えています。当社がバーチャルオンリーを継続している主な理由は、より多くの株主様が出席しやすい環境を整えるためです。バーチャルオンリーはリアル会場へお越しいただく必要がないため、遠方にお住まいの方をはじめ、移動や滞在にご負担がある方でも容易に出席いただけます。そのため、リアル総会と比較して「より開かれた総会」の実現につながると考えています。また、昨今の感染症拡大防止や自然災害への対策といった面も考慮し、バーチャルオンリーでの開催を選択しています。
また、運営側のメリットとして、会場設営にかかるコストや人的負担を大幅に軽減できる点も挙げられます。その分、株主様とのより良い対話や、総会運営の質を高めることにリソースを充てられていると実感しています。

志賀:「株主平等の原則」の観点でも、バーチャルオンリーはすべての株主が平等に出席・質疑応答ができる、非常に有用な手段だと考えています。当社は1999年に大阪で設立しましたが、現在は日本全国でサービスを展開しているため、当社やサービスに愛着を持って株主になってくださった方が全国各地にいらっしゃいます。また、当社はミッションとして「テクノロジーで時間価値を高める」を掲げていますので、その一方で「株主総会には交通費と移動時間をかけて本社(東京)に来てください」という姿勢をとることは、言行不一致になってしまいます。バーチャルオンリーは、当社のミッションとも高い親和性がありました。2025年の株主総会中には、「バーチャルオンリーだから、初めて株主総会に出席できた」という株主様からのお声もいただけました。
―――バーチャルオンリーを続ける中で、株主総会運営にどのような変化がありましたか。

志賀:株主数が変動しているため一概には比較できませんが、リアル総会では出席者数が20〜30名程度だったところ、バーチャルオンリーではその2倍以上となる、最大70名の株主様に出席いただきました。また、内訳としても、関東以外からのアクセスが約70%でしたので、遠方にお住まいの方にも幅広くご出席いただけていることを実感しています。

柴田:バーチャルオンリー初年度の当日質問数は20件程度でしたが、2025年は25件の当日質問をお寄せいただきました。リアル総会で挙手をし、マイクを持って目の前の議長へ質問することはハードルがとても高いですが、バーチャルオンリーであれば、専用サイト内から誰でも平等に質問できるため、リアル総会よりも「開かれた株主総会」を実現できていると感じています。

志賀:質疑応答の内容も有機的だと感じます。当社では多くの株主様より質問をお受けする観点から、「1問あたり150文字以内、お一人様3問まで」とお願いしていますが、株主様自身も質問内容をあらかじめ検討・準備して臨んでいただいくため、質の高い対話が実現できています。また、一般のお客様向けのサービスを行っている企業の質疑応答にありがちな「サービスを利用した際にこんなことがあった」などの個人的な質問がほとんどなく、他の株主様にとっても有益な質問が多いと感じました。

取締役 志賀 綾子さま

株主総会の質の向上を目指し、支援パートナーをICJとNTTビズリンクへ切り替え

●より良いバーチャルオンリーの実現を目指してベンダーを刷新。
●豊富な実績に基づく安定した配信体制を持つNTTビズリンクと、総会実務に則した柔軟な操作性を持つICJのVSMプラットフォームを採用。

―――2025年総会からプラットフォームをICJ、撮影配信をNTTビズリンクに切り替えられましたが、過去のバーチャルオンリーを経て実感した課題と、ベンダー選定の際に重視したポイントを教えてください。

志賀:当社のバーチャルオンリーは、ライブ配信に加えて、あらかじめ収録した動画も挟みながら進行します。その際、事前収録動画と当日のライブ配信の切り替えに違和感が生じないよう、同等の品質で配信をお届けすることが非常に重要ですが、以前は配信の音声がこもって聞こえるなどの課題がありました。取締役会からも指摘を受けており、映像切り替え時の違和感や不具合を解消するために、環境そのものを刷新することにしました。

柴田:ライブ配信が不安定になると、バーチャルオンリーの運営全体に支障をきたしてしまうため、映像と音声の安定性を最重視してベンダー選定を行いました。また、プラットフォームに関しては、UI(ユーザーインターフェース)の分かりやすさに加え、システム操作時の反応速度、サイトカスタマイズの自由度、拡張性の高さも重視するポイントでした。その上で、2022年から継続しているバーチャルオンリーによって確立された「当社独自の運用方法」を、さらにより良いかたちで実現できるかどうか、という点も基準に検討を重ねました。

志賀:当社独自の運用方法の一つとして、社外役員はZoomを使用してリモート参加するため、プラットフォームへZoomを連携できることが必須要件としてありました。事務局から直接のサポートが難しい外部環境下での参加になるため、日常的に使い慣れたツールの使用を希望しました。

NTTビズリンクの撮影配信とVSMプラットフォームの接続構成

管理本部 本部長 柴田 佳三さま

―――ICJとNTTビズリンクを採用した決め手はなんでしたか。

柴田:ICJのVSMプラットフォームは、トライアルを通じて当社のバーチャルオンリーの運用イメージを具体化できたことが大きかったです。コーポレートカラーやロゴの反映、柔軟な操作性が総会実務に適していると感じました。また、同じ画面上で招集通知を見ながらライブ配信を視聴できる点は、株主様の利便性向上にもつながる大きなメリットだと思います。

志賀:コーポレートカラーやロゴの反映は、株主様のログイン時の安心感にも直結します。他社の株主総会サイトと同じ画面構成では、株主様は「出前館の株主総会サイトへ正しくアクセスできているのだろうか?」と、不安を感じるかもしれません。リアル会場における看板と同様に、わかりやすさが株主様の安心感につながるのであれば、活用しない手はありませんでした。

柴田:NTTビズリンクは、大規模な配信実績に裏打ちされた、安定した支援体制が決め手となりました。Zoomウェビナーによる配信は、タイムラグもほとんどなく社内からも大変好評でした。

「自分の声が届いた」実感を生む対話の姿勢で、株主の納得感と満足度を高める

●提出されたすべての質問に回答し、株主が「自分の声が議場に届いている」と実感できる丁寧なコミュニケーションを追求した。

―――質疑応答の対応フローの構築で工夫されたことはありますか。

志賀:作成した対応フローの素案をもとに事務局メンバーで複数回練習を重ね、改善を繰り返しました。最終的には12〜13名体制で「一人一役割」を徹底し、スムーズな運用を実現しました。
マイクが周囲の音を拾ってしまうため、事務局メンバー間や議長との連携時には会話でのやり取りを最小限にとどめる必要があり、情報共有方法として「要フォロー」タグを導入しました。リハーサル時に課題となったのは、担当部署が回答に詰まって「要フォロー」タグが多発したり、「お見合い」状態になったりすることでした。特に、特定の部門に関する質問が集中してバランスが崩れることもありましたが、私が調整役として介入することで円滑にフローを回せるようになりました。
当社の場合、社長がIR・投資家対応にも非常に慣れており、基本的にはすべての質問に自身の言葉で回答できるため、事務局での回答作成は「これは会社として回答してよい内容か」「踏み込みすぎていないか」といった点をケアする役割が強いです。そのため、事務局側では回答をあまり固めすぎず、単語やキーワードを中心に連携し、社長自身の言葉で自由に話せるよう運用していました。

柴田:練習には社長も参加して、議長としてのパフォーマンスを最大化しつつ、システム操作の負担を感じさせない最適な機材配置を追求していきました。当初は質問を映すモニターが横向きでしたが、文字を読む際に前のめりになってしまうため、レイアウト上、質問エリアを拡大してモニターを縦向きに置くことにしました。理想的なバーチャルオンリーの実現に向けて、こうした細かな微調整を含めて練習のたびにブラッシュアップを繰り返しました。

―――質疑応答の対応で工夫された点、意識した点があれば教えてください。

志賀:2025年は「100本ノック形式」として、いただいたすべての質問へ回答する方針を事前に決めていました。バーチャルオンリーで株主様が抱きやすい「答えにくい質問に答えていないのではないか」「自分の質問が取り上げられていないのではないか」という疑念を払拭するためです。例えば、業績に関する質問への回答後に、同じような業績への質問が重なることがあります。ある程度趣旨が同じ質問をまとめて回答することは議長の裁量で認められていますが、対話の場として「自分の声が議長に届いた」ことを実感していただきたいと考えたため、似た内容の質問もまとめずに、一問ずつ丁寧に回答しました。

質疑応答の流れとしては、最初に事前質問へ回答し、その次に業績などのよくある質問を取り上げ、その後すべての質問を読み上げました。全く同じ質問文が連投されるなどの不適切なものを除いてすべてに回答し、質疑応答開始から1時間ほどで新規の質問が止まり、質疑応答を終了しました。大変さもありましたが、バーチャルオンリーにおける「対話のあり方」、当社としての「対話の姿勢」をお示しすることができたのではないかと思っています。

柴田:実際に、総会終了後には「自分の質問に答えてくれた」というお声も寄せられたため、株主様の満足度向上につながったという手応えを感じています。

志賀:リアル総会の課題の一つに、「質疑応答の拘束時間」があると感じています。リアル総会の質疑応答では、指名から回答に至るまでの一連のプロセスに一定の時間を要します。また、対面でのやり取りは、丁寧なご挨拶や個々の背景を含めたお話など、株主様お一人おひとりの発言スタイルや内容によって所要時間にもばらつきが出やすく、指名された株主様以外の株主様は、その質疑応答が終わるのを待つしかないという側面があると感じていました。そのため、出席者数が多い株主総会では、時間の都合で質疑応答が途中で打ち切られることもあります。

一方、バーチャルオンリーはテキストベースの質問になるため、質問内容が明確化されて質疑応答の質が向上するだけでなく、進行も非常にスムーズになります。
当社は株主総会終了後に、いただいた質問と回答をホームページへ掲載していますので、株主様は質問を送信した後に退席されても、後ほどご自身の都合の良いタイミングで回答を確認することが可能です。バーチャルオンリーの質疑応答は、タイムパフォーマンスの向上と株主満足度の両立を実現できる、非常にポジティブな手法だと確信しています。
―――質疑応答以外に、総会で工夫されていることはありますか。

志賀:一般的な法的観点では、株主総会の場では未来の事象に触れない方が安全とされますが、当社はあえて積極的に触れるようにしています。株主様が最も知りたいのは「当社が今後どうなるか」という点です。「決算に対する株主総会だから」と法律を理由に回答を控えることは「対話」ではないと考え、株主総会の中で進行期の事業戦略や目標数字をお伝えするのは、当社ならではの取り組みだと思います。
また、事業戦略に関する内容は事前収録動画も活用していますが、株主様はこの時間に質問を送信することが可能になっています。バーチャルオンリーは、やろうと思えば非常にスピーディーかつコンパクトに進行できる形式だと思いますが、株主様にとっても、一年に一度の株主総会という場で、議長に直接質問したいことがたくさんあるはずです。そのため、社長から「事業戦略の話をした後に質疑応答の時間を設けます」といった全体の流れの説明をシナリオに何度も入れて、質問を促しています。これは「たくさん質問してほしい」という社長の意思を反映した構成でもあります。事務局としては、どのような質問がどれほど寄せられるのか緊張する面もありますが、株主様との対話の姿勢を重視して運営を行っています。

企業側と株主様、双方にとって大きなメリットがあるバーチャルオンリー。「運営の不安」と「経営陣の説得」を乗り越えて実施する価値がある

●NTTビズリンクとICJの豊富な知見、リハーサルを通じた改善の積み重ねにより、少人数の事務局ながら細部まで配慮の行き届いた総会運営を実現。
●バーチャルオンリーが「企業と株主の双方にとって有益な対話の選択肢」になり得ることを社内外に示す契機にもなったと実感。

―――全体を通してICJとNTTビズリンクのサポートで印象的だったことはありますか。

志賀:事務局スタッフの負担は確実に軽減されました。私たちはバーチャル株主総会運営のプロではないので、責任重大なシステム操作やライブ配信管理には常に緊張感が伴います。今回、ICJとNTTビズリンクの両社が、いわゆるフロアディレクター的な役割を担ってくださったことで、私たちは本来の総会業務に専念できました。事務局のメンバーが3人と少ない人数で運営しているため、もし自分たちだけでシステム操作やライブ配信管理を含めたすべての対応を担うことになっていたら、途端に運営が厳しくなっていたと思います。

柴田:経験豊富な両社に対応いただいたので、システム操作のタイミングやライブ配信管理も完璧でしたね。事前準備からリハーサル、当日まで一貫して丁寧にサポートいただき、チームとしての一体感を感じました。ICJには細かい点まで先回りしてお声がけいただき、安心して準備を進めることができました。NTTビズリンクにはインターネット回線の相談にのっていただいたほか、総会直前のZoomの調整なども迅速に対応いただきました。

志賀:話しやすい雰囲気を作っていただいたので、なんでも相談しやすかったです。事前収録では社長がシナリオ変更の要望を出しましたが、急な変更にも快く対応してくださいました。社長が株主様と対話するためにやりたいことがあるなら、事務局としてはできるだけかなえたいと思っていますので、柔軟にご対応いただけたことは非常に心強かったです。

―――今後、株主のエンゲージメント強化に向け、取り組まれたいことはありますか。

柴田:引き続き、株主様が出席しやすい株主総会の提供を第一に考えたいです。あわせて、社内の要望を柔軟に反映していくことも私たち事務局の使命ですので、その両立を通じて株主様のエンゲージメント向上をしっかりと実現していきたいと考えています。

志賀:現時点ではバーチャルオンリーが当社にとってベストな方法ですが、コミュニケーションの形は多様ですので、常に最善を模索し続けたいです。個人的にはハイブリッド型への関心もありますが、現状のバーチャルオンリーに対する株主様の満足度の高さやコストなどを鑑みると、今はバーチャルオンリーが株主様と当社の双方にとって最も適している形だと捉えています。

―――最後に、バーチャルオンリーを検討されている企業の方々へメッセージをお願いします。

柴田:バーチャルオンリーを検討する際の課題には「運営の不安」と「経営陣の説得」の2点があると思います。運営面については、実績豊富なICJ、NTTビズリンクとともにリハーサルを重ねることで不安を解消できます。可能であれば経営陣にもリハーサルに入っていただくことで具体的な開催イメージが湧き、不安の解消にもつながるのではないでしょうか。最初の一歩には勇気が必要かもしれませんが、一度バーチャルオンリーを実施すれば経営陣にもその良さを実感していただけると思います。
当社では、特に社外役員がバーチャルオンリーに好意的です。多忙な役員にとって、移動の負担がなくどこからでも出席できる利便性は、タイムパフォーマンスの面でも大きなメリットとなっています。

志賀:役員としての立場で考える点は、株主総会を主導する管理部門はどうしても新しい挑戦・未経験の経験を苦手とする性質を持っているということです。それ自体は悪い事ではないと思いますし、だからこそ日々の業務を安心して任せられます。そのような中で、「バーチャルオンリーへの挑戦」は大変な要求ですが、経営陣がチャレンジを正当に評価する環境があれば、導入は十分可能だと思います。一度バーチャルオンリーを実施すれば、企業側と株主様、双方にとって大きなメリットがあると実感できるはずです。
当社も、バーチャルオンリー移行初年度こそ「株主から逃げるのか」「質問に答えないつもりか」という厳しいご意見もありましたが、本質はより多くの株主様との対話を目指した選択です。4年間継続した今では、そうした批判のお声はなくなり、「バーチャルだから出席できた」「自分の質問に答えてもらえた」といった、満足度の高いご意見をいただけるようになりました。

また、支援を行うICJやNTTビズリンクのようなパートナー企業の皆様には、導入検討企業の最大の不安は「そもそも準備の進め方が分からない点」「分からないことが分からない点」にあるとお伝えしたいです。公開映像では見えない「事務局の裏側の動き」を、動画や準備リストで可視化できれば大きな安心感につながります。私たちはグループ会社のリハーサルを見学する機会があり、「こうやって合図を出しているんだ」「質疑応答はこのように連携しているんだ」といった具体的な動きを知ることで不安が払拭されました。こうした舞台裏の可視化が、検討中の企業にとっては最大の助けになるはずです。
今回お話した当社の事例が、導入を検討している企業のチャレンジの後押しになれば、と思っています。

※「VSMプラットフォーム」は株式会社ICJの登録商標です。
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